記憶を失っても、感情とプライドは残っています

感情が不安定だと認知機能も崩れてしまいます。感情によって出来ることも出来なくなります。誰でも、嫌なことがあれば、不愉快な気持ちや怒りがわきおこり、プライドが傷つけられます。そうした感情が認知症の症状をさらに強めて行きます。逆に、感情が安定していれば大きな症状は出ません。
デイサービスでは、不快な思いをさせず、快の記憶を残す関わりを行っていきたいと考えています。

生活リハビリの効果

調理や手芸、園芸など、日常生活の作業を通して、心身の機能の維持や強化、幸福感や自尊心の充足、人々や社会とのつながりの回復などを図ります。その結果、心と体のリハビリ効果が得られます。

日常的な作業に自覚はないかもしれませんが、筋力の動きなどの身体機能、集中力や判断力などの心理機能を総合的に活用して行きます。

このため、作業に取り組んでいるうちに、自然に心身両面のリハビリになります。

自信や安心感を取り戻す

認知症の人は、発症や進行に伴い、それまで出来ていたことが出来なるなる体験をしています。得意だった料理が作れなくなったり、好きだった趣味が出来なくなります。それは大きな喪失感を感じるだけでなく、自分が自分でなくなっているように感じることもあるかもしれません。

生活リハビリでは、そうした自身の回復を目指し、作業を行っていく中で、自尊心や安心感を取り戻していきます。

失われにくい”作業記憶”を活用

認知症の人は、馴染みのない行動は苦手です。目的や手順を説明されても理解が難しかったり、忘れてしまったりして、混乱や困惑し、時にはやらされていることへの怒りを感じることもあるかもしれません。

しかし、積み重ねてきた作業を体が覚えていることがあります。認知症の人は、そうした「体で覚えたこと」「なじみの作業は」失われにくい傾向があり、これを「手続き記憶」といいます。生活リハビリでは、まさにその人の馴染みの作業を行います。慣れた行動、分かりやすい目的のため、混乱や困惑、怒りという感情にとらわれずにすみます。


感情が伴うと
記憶に残りやすい

認知症の人は感情で記憶すると言われています。それは脳の働きが関係してます。脳の中に「偏桃体(へんとうたい)」と呼ばれる部位があり、ここは快・不快を感じる場所だからです。偏桃体は記憶と関係が深い「海馬」のすぐ近くにあり、感情と伴う記憶は偏桃体から海馬に伝わるため、記憶が残りやすいと言われています。

そのため、いつもできていたことが出来なくなったつらさや不安、覚えのないことで叱られた嫌な気持ち、自分らしさを発揮できたうれしさを感じる心、そしてそれまでの人生を生きてきたプライドは持ち続けます。

オレンジカフェ(認知症カフェ)

新型コロナ感染予防のため、休止中です。

認知症の理解を深め、地域で認知症の人を支えられるように、デイサービスの休みの日、2カ月に1回オレンジカフェ(認知症カフェ)を開催しています。

認知症カフェは、利用者を限定せず、認知症の当事者、家族、地域住民、介護や医療の専門職などさまざまな方が集うことが大きな特徴です。

地域の人たちが気軽に集い、認知症の人や家族の悩みを共有し合いながら、専門職に相談もできる場所となっています。認知症カフェは、カフェという自由な雰囲気のなかで、支える人と支えられる人という隔てをなくして、地域の人たちが自然に集まれる新しい場所です。